2017年に結成したミず鬼ずムの三日月電波の紹介です。
メンバーの枕童子が質問し、電波が答えるという
インタビュー形式を採っています。
妖怪言霊通信2021年2月号(裏面)でも抜粋記事を
掲載しています。そちらもご高覧頂けたら幸いです。
尚、三日月電波は妖怪画家としてアート作品を発表する傍ら、
メキシコプロレス(ルチャ・リブレ)の覆面レスラーとしても
活動しています。
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枕童子:画家になろうと決めたのはいつですか?
三日月電波:変な話なのですが漠然と物心ついた時から
絵描きになりたいと思っていました…
つまり、小学生の2年生ぐらいにはハッキリ意識していたかな…
5歳の時に描いた絵が、何か有名な絵の先生に
「この子は、自分の目で見たものを描いている」
と褒められたらしく…それも嬉しくて…
そんなこともあり、休み時間には、粘土をこねくり回したり
下手糞な漫画を描いたり、拾ってきた木の枝を削ってペーパーナイフを
作ったりして、ひとりだけ図画工作の授業時間が異常に多い
小学生生活をすごしていました。
そんな子供時代、10歳ぐらいのころ手塚治虫という存在に出くわします。
母が手塚治虫のファンでしてたしか…神戸の阪急百貨店にイベントで
手塚治虫のサイン会があるという事で家族で行ったのです。
イベント会場にあらわれた手塚治虫先生という存在はあのとおり
ベレー帽を被り、黒縁の眼鏡をしており、終始ニコニコしていました。
口を開くと笑いだすような面白い事をしゃべり
(残念ながら、どんな話をしたのか思い出せない)
油性マジックを振るうと白い紙の上にユニコやリボンの騎士のキャラクターが
本当にポンポン生まれ出され、子供心ながらマジシャンのようだと
と感心していました。
そして、私はユニコのイラスト入りサインをもらいました。
つまり、はじめて私の遭遇した手塚治虫という存在は
優しい大人のオーラをまとったそして凄い力を持つ魔術師でした。
そんな訳で先生の存在に興味を持った私は
先生の描いた漫画を読みたいと思った訳です。
で、はじめて読んだのが「アトム」や「リボンの騎士」という子供向けのものでなく
「火の鳥 鳳凰編」という大人向けの漫画でした…
我王と茜丸という2人の芸術家のドロドロとした人間関係と物語の終わりに
幸せとなった人物は皆無という濃い内容に読い終わったときは…
えっ…あの優しいそうな人がこの漫画を描いたの…
信じられない…って気持ちがいっぱいでした(笑)
でも、それは衝撃だった分、間違いなく私の現在の創作活動の姿勢に影響をあたえました。
創作には自分の全ての思いをぶつけなくてはいけないという姿勢…
本当の実力者は優しく見えても、深い心の闇を抱えているものなの…
私の創作するときの心には、
どこか我王というキャラクターが潜んでいるのです。
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枕童子:妖怪画を描こうと思ったのはなぜですか?
三日月電波:大学を出たころは美女を描くイラストレーターを目指していました(笑)
まぁ、若いこともあり綺麗で派手でチヤホヤされる世界に憧れていたのです。
ところがです…
その世界を目指し
数年…アーでもない
コーでもない
と頑張っているうちに
世の中の早い流れにうんざりしだしたのです…
どんな、綺麗なファッションも
宣伝に使われる美しいイラストも
面白い芸人さんも美しいタレントさんさえも
三ヵ月も経たずに忘れられていく…
下手に、絵やデザインとか勉強していたので
それを創り出すために、どれほどの才能と情熱と労力をかけてきたのか良く分かります。
それらが、飽きられるとポイッと捨て(忘れ)られる…
勿体ないオバケでないけど
それらの、素晴らしい情熱をかけた品々が
象の墓場みたいに積み重なった残骸になるイメージをすると…
疑問を感じだしたのです。
何のために…誰のために…
こんなこと(創作)、やっているのだろう…
こんな、疑問を感じだしたら御終いです。
何を創っても結局は、ポイッと捨て(忘れ)られるのだ…
30の頃には、悲観的になり筆を折ろうと考えていました。
そんな中、ひょいと
妖怪との運命的な出会いがありました。
Tシャツ用の河童のイラストを頼まれたのです。
北九州の紫川をイメージしたものでした。
なんとなくで、引き受けた依頼でしたが
河童の男の子と女の子の絵を描きながら
私は、ワクワクしていました。
河童の姿のイメージが、どんどん湧いていき止まりません…
頭の中を二匹の河童が縦横無尽に駆け回るのです。
それは、不思議な…
懐かしい幼友達に逢うような体験でした。
あっという間にイラストは仕上がりました。
こんな時は、良い結果が待っているものです。
作品は高評価を受けTシャツデザインとして採用されました。
この体験をした時
ポイッと捨て(忘れ)られない存在があることに気が付きました。
時間の流れにも古いも新しいも気にしない存在…
忘れようにも忘れられない…
妖怪です。
とても永い永い時間の中で
たくさんの人から色々な姿を考察され
その形が次の世代に受け継がれていく
日本の隠れた伝統文化
何より、みんなが子供の時、傍にいて…
誰も姿を見たことはないのに
みんなが知っている
不思議なクラスメイト…
この時、妖怪を生涯のテーマとして描こうと決意しました。
何より、私の頭の中には数々の妖怪たちが、
すでに所狭しと駆け回っていました。
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枕童子:(ルチャ・リブレの)覆面レスラーと妖怪画家として、
人々に何を伝えたいですか?
三日月電波:何か人様に伝えれないか…と頭を捻りますが…
好きな事ばかり夢中にやっていますが(結果はともかくとして…)
他の社会生活はダメダメである自他共認める「駄目人間1種」の
資格を持つ私が世間様に申せる事など、たいしてありません。
しかし、まぁ、絞り出してちっぽけな人生感などを申しますと
人生など、虚しいものでございます。
あっという間でございます。
一生懸命もがいてピチピチ跳ねてもまな板の魚と同じ…
いずれ弱ってチ~ンポクポクでございます。
ただですよ…
ただしですよ…
そんな諸行無常な世の中にも
ハッと輝くような
先人の格言というのもあります。
私オススメは「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損」というものです。
いやいや、フザケている訳ではありません。
それなりに歳を重ねてきますと
色々と人を沢山見ますが
弁当広げて見物しながら
アーだコーだ言ってる人より
神輿担いで踊っている人の方が
楽しそうなものなのですよ。
なせでしょうね〜?
人間、祭り好きに出来ているのかも
知れませんね。
きっと、汗かくの好きなんですよ。
何を言いたいかと申しますと
私に出来ることは
ピチピチくたばるまで、
まな板を跳ねることでございます。
覆面レスラーとして
中年が筋肉痛に苦しみ
息切れしながらリングにあがって…
はたまた妖怪を探して
古文書あさり頭を捻って
絵を一生懸命描いて…
そんな金にならない事を続けていたら
一緒に汗かきながら踊ってくれる方も
出て来ました。
とても不思議な事で
そして、ありがたい事です…
まとめますと
人生、虚しいモノですが
汗かいて一生懸命踊っていたら
楽しいし仲間も出来ますよ
って事でした。
私が伝えるれることは
これが精一杯…
そうそう!
そこの、あなた!
妖怪絵師としてお願いです。
あなたの住む所にマイナーな妖怪がいたら
是非、聞かせて下さいな。
消え入りそうな存在を
描いて残してやりたいのです。
つまり…ね…一緒に
ちょいと、踊りませんか?
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枕童子:妖怪はどんな希望を人々に与えると思いますか?
三日月電波:妖怪って、ぶっちゃけ
意味なんかぜんぜん無くて
すご〜く無意味なモノなんです。
妖怪はいうなれば
効率化が重要な現在の価値観と
真逆の存在なのです。
今回のコロナ禍で
もてはやされてる
アマビエや神社姫やクタベ(白澤)などの妖怪だって
ワクチンみたいに
本当に効果があるわけでありません。
トボけた顔して
「疫病退散」の効果あるぞよ…
とのたまってるだけです(いやアマビエはそれすら…)。
しかも、現代人の誰もが
それを信じていません。
でも、世間はアマビエ等を
受け入れてます。
矛盾ですね…
私、思うに
人間って無意味なモノがいると
安心する生き物だと思うのです。
合理的な事ばかり考えていると
息が詰まるのかな?
だから、妖怪が
人間に与えれる意義って
「無意味でも存在して良いのだよ」
っていう安心感じゃなのかな…
逆に、考えると
そんな、無意味なモノ達が
人類が誕生してから
ずーっと、人間の生活に
寄り添って居座ってるって
凄いと思いませんか?
しかも、堂々と…
もっとも、昨今もてはやされる
合理化・効率化なんての行き着く先は
結局のところ人間の要らない世界って
事になるような気がしますが…?
ありゃ〜、人間も無意味となれば
目出度く妖怪の仲間入りですかね?
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枕童子:将来の夢を教えてください。
三日月電波:日本には4000体を超える妖怪が伝承されていると
いわれています。
私は死ぬまでに1000体の妖怪を描きたい…
それが、私の夢です。
昔、円空という御坊さんは千体の仏像を彫ることを
生涯の修行として課したといいますので
それに、あやかりたいのです。
プラス!
ちょっぴり格好の良いことを言わせて頂ければ
日本で唯一(?)の妖怪画を描く覆面レスラーとして
子供たちに愛と勇気を希望を与えたいと思っております。
ふぉふぉふぉ~
枕童子:有難うございました!
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